■ホースセラピー  担当:藁谷誠

1. ホースセラピーについて
ホースセラピーは三つに分類することができます。
@ ヒポセラピー(乗馬療法)
⇒馬が介在した医学的・保健体育的治療。医療目的のために馬を用いる。
 この療法の目的とするところは身障者のバランス・平衡感覚の改善や関節機能の回復、
 筋肉をつける訓練としている。
A セラピューティック・ラインディング(治療的乗馬)
⇒医療・教育・スポーツという三領域を指す。
 乗り手に楽しみを与えるものとして乗馬指導をし、その副産物として身体的・知的・社会的改善をはかる。
B ランディング・フォア・ディスエイブルド(障害者乗馬)
⇒おもに障害者を対象にしたスポーツ。
 乗り手には馬を自分で制御できる楽しみを与える。

この三つのうち@はAAT(アニマル・アシステッド・セラピー)、AとBはAAA(アニマル・アシステッド・アクティビティー)となります。
AATは治療上のある部分で動物が参加することが不可欠であり、医療従事者による処方と参加が必要です。
AAAは特別な治療上のゴールは設定せずに、動物と触れ合うことが重視され、活動中はAATのように医療従事者の参加がなくても構いません。

 次にホースセラピーが人にもたらす効果についてですが、
@ 機能回復訓練
A 精神疾患の改善
V レクリエーション
の三つが挙げられます。

 問題点については
T セラピー馬の不足=セラピー馬を育成・調教・飼育できる専門家の不足
U 馬のストレス、飼育環境
が挙げられます。



2. 引退後の競走馬について
毎年約五千頭の馬が中央競馬から登録を抹消します。抹消した馬の行き先は次のようになっています。
繁殖    683   研究馬    196
地方競馬 2545   農馬       1
斃死    196   二歳未抹消    4
乗馬   1290   その他    621
使役馬     4   合計    5360

このように乗馬への転用頭数が多いのですが、実際は書類上のことであったり短期間の
延命に過ぎなかったりといったことがあるようです。
一頭でも多くの馬に第二の馬生を送る場を与えるためにもホースセラピーが普及し
受け入れ態勢を整えることは有効だと思います。

実際に馬主の中にはホースセラピーに関心を持っている人もいます。
全国公営競馬馬主連合会が、ばんえい競馬を除く地方競馬馬主約7000名を対象に競走馬の
流通に関する馬主意識調査を実施しました。その際、軽種馬の現役引退後の利用活用等に関する
意識調査で、<乗馬・セラピー馬転用に関する情報のネットワーク・仕組みを望む>人が60%いました。
有効回答者が1721名(24,6%)と低かったのが残念ですが、馬の行き先の決定権を握る
馬主の中に少なからずホースセラピーに関心を持っている人がいることを知ることができました。
また調査の中には現役馬の転売情報が少ないと答えた人が62%、地方競馬場の転入条件が
余り分からないと答えた人が71%いるなど馬主から情報不足であるとの指摘が多数寄せられています。
こういったことが改善されれば行き場がなくなった馬に選択肢が広がるのではないかと思います。






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