■子犬のしつけの重要性と適切な社会化 担当:池田
◇子犬の社会化期とは
子犬が飼い主(子犬から見たらリーダー)や仲間、外部の人間や犬などになれていく過程のことで、
この時期に仲間の犬や人間との遊びやふれあいを通して情緒性を育み、生き方の基本を身に付ける。
犬での社会化期は、3〜14,5週齢と言われている。
◇社会化期の重要性
社会化はこの時期以前、以後にも行われているが、社会化期には好奇心が旺盛であるため、
個人差があるが容易に社会化し易い。うまく社会化ができなかった子犬は将来、
特定のものや人に恐怖を抱きやすく、その結果様々な問題行動を起こす場合がある。
様々な事・物に慣れていない犬を飼うことは、飼い主にとっても、犬にとってもその後の生活が困難になるため、
様々なものに慣れやすい時期である社会化期は大切なのである。
◇社会化はどのようになされるか
・前半(約7週齢まで)
視覚や聴覚、身体の機能もしっかりし、好奇心が旺盛になってくる。
この時期の子犬たちは、寝床から出て兄弟同士遊んだり、周囲を探索したりするようになる。
食事をとって眠るだけではなく、興味あるおもちゃを見つけて兄弟と取り合いをしたり、
母犬相手にレスリングを試みたりと活発に動くことで、犬として必要なコミュニケーション法を学んでいる。
のちにしつけや家族の一員として育てる場合に不可欠な「順位制」や「相手との関わり合いである社会性」も、
この時期にまず親や兄弟から学ぶ。
したがって社会化期前半まで(少なくとも生後約7週齢まで)は
母犬や兄弟犬の元で育てることの重要性は注目されていて、
国によっては子犬の流通に年齢規制をもうけているところもある。
・後半(生後7週齢〜12週齢)
コンパニオン・アニマルである犬や猫は自分と同種の動物だけでなく、
人間とも共存し人間社会にも適応する必要がある。この時期に同種の動物と十分接触させ、
さらに積極的に人間社会も体験させることが特に大切である。
新しく子犬をもらう時期は生後2ヶ月齢が適当だと言われてきたことも、
その時期が社会化期後半であるからである。
新しい飼い主の育て方次第で適切な社会化ができるかどうかが決定される重要な時期と言われる。
◇具体的にどうするか
・犬に対しては
親元を離れた子犬を室内飼育すると、他の犬との接触はほとんどなくなってしまい、
たとえ親犬や兄弟とともに育っても、その後(特に社会化期後半)に他の犬との接触がなければ
コミュニケーション能力が不完全な犬になってしまうため、
親元を離れた後も年齢や体格の近い犬と接触する機会をなるべく持つ必要がある。
・ 人に対しては
人間社会で暮らす犬にとって、人との接触は避けることができないため、
多種多様な外見の人、例えばひげ、めがね、帽子、傘をさす人、子供、大人、老人など
様々な年齢層、乳母車を押した人、大きな袋を持った人など、様々な通行人に会わせることは、
その後の問題の予防にもなる。
・ 環境に対しては
家族の会話、テレビの音など生活音に囲まれて育った子犬は、
生活音をバックミュージックのように聴くことで、新しい家の生活環境にも慣れやすいといえる。
そのため、犬を飼おうという人は、母犬の状況、育てられた環境を実際に見る、知ることが必要である。
◇社会化が行われないとどうなるか
早期に親犬から引き離されたり、人間との接触のない子犬は良きパートナーになる可能性が低くなり、
「問題行動」をとる可能性が高くなる。
一方、母犬や兄弟犬から引き離すのが遅れると今度は犬仲間におぼれ、
人間との連帯感が持てず、しつけや訓練が難しい犬になってしまうことがある。
犬は群れを形成する動物であるため、家族の一員として一緒にいることで幸せになれる。
これは、社会化期で決まってしまう。
◇問題行動と犬の特性を混合しない
「問題行動」といっても、犬種によってその性質は違うため、
飼い主にはその犬に対しての知識が必要である。
特に純血種にはそれぞれ特徴があり、それお理解した上で決めることが大切である。
例として、
・猟犬(セッター、ポインター、レトリバーなど)
服従心は旺盛、トレーニングによく反応するが、適切なトレーニングがなければ手がつけられない。
・牧羊犬(コリー、シェルティー、コーギーなど)
活動的。家畜の踵を噛む点を買われて飼育されてきたので、興奮すると吠え、噛み付く傾向がある。
◇気をつけなければならないこと
社会化の時期は子犬にとって一番病気にかかりやすい時期でもある。
ワクチンを打っていても伝染病にかかる可能性があるため、
外に連れ出す時は抱っこしてやり、犬が集まる公園などは避け、遠くから見せるだけにする。
そのかわり、いろんな人にいろんな格好をして家に来てもらったり、
きちんとワクチン接種をしている犬をつれてきてもらい、一緒に遊ばせると良い。
パピークラスに参加するのは子犬にとって社会化の良い機会となる。
◇犬に求められる社会性
社会に対して求められる社会性は、様々なものに過剰な反応をとらずに無視できることである。
家庭犬が生活している世界は人間の社会であるため、人との社会化が一番大切である。