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■盲導犬について  担当:上嶋

 視覚障害者の歩行を補助しながら、使用者である視覚障害者を危険から回避させ、
安全に誘導するという基本的な役割を果たす盲導犬とは、
  「盲導犬の訓練を目的とする民法第34条の規定により設立された法人、
   または社会福祉事業第29条第1項の規定により設立された社会福祉法人で、
   国家公安委員会が指定した者が盲導犬として必要な訓練をした犬、
   または盲導犬として必要な訓練を受けていると認めた犬で、
   総理府令で定める白色または黄色の用具をつけたものとする」
と、道路交通法施行令で定義されています。

□盲導犬の歴史
 現在のように系統立てた訓練によって盲導犬が育成されるようになったのは、
1916年、ドイツのオルデンブルクに盲導犬学校が設立されたのが始まりのようです。
これはもっぱら、第一次世界大戦で傷を負った戦傷盲人援助の目的で作られたものでした。
その後、23年にはオイツダムのドイツ・シェパード協会が盲導犬訓練所を開設し、
以来、盲導犬訓練による盲人援助がヨーロッパ全土に広がっていきました。
日本で最初に盲導犬が誕生したのは1957年のことです。
その後1967年になって財団法人日本盲導犬協会が組織されました。

□盲導犬の育成
 現在、日本には9つの盲導犬協会及び法人があり、それぞれ独自に盲導犬の育成を行っています。
盲導犬の育成はまず、優秀で盲導犬としての適性のある親選びから始まります。
その親から生まれた仔犬は、生後2〜3ヶ月ほど母親の元で過ごした後、
パピーウォーカーとも呼ばれる飼育奉仕家庭に預けられることになります。
ここで1歳2ヶ月前後まで普通のペット犬と同じような生活を送り、
この間に十分な愛情を注いでもらい、人間への信頼感や豊かな感情を養っていきます。
そして飼育奉仕家庭での暮らしが終わると適性検査が行われ、
盲導犬としての適正があると判断された犬に対して初めて訓練が行われます。
訓練期間は盲導犬協会によって異なり、最短はアイメイト協会で3ヶ月、最長では約1年です。
こうして盲導犬としての基礎訓練が終わった候補犬たちは、今度は、
使用者となる視覚障害者との共同訓練に入り、
その訓練を終了した犬だけが盲導犬として社会で活躍することが出来ます。
 *盲導犬としての適正
   訓練の段階で盲導犬としての適正にかけると判断されれば、そこでまたふるい落とされます。
   たとえばアイメイト協会の場合、10頭のうち2〜3頭が適正に欠けるとして脱落しています。
   この段階で適正に問題ありと判断されるのは、乗り物酔いしやすい犬、警戒心が強くほえる犬、
   大きな音を怖がりパニックを起こしたり、人を噛む癖のある犬、
   慣れた場所での誘導には問題が無くても、
   応用力に欠け、初めての場所での対応が出来ない犬などです。
  *基礎訓練
   主人への服従心と訓練を学んでいく態度の基礎を覚える服従訓練、
   ハーネスをつけ、段差や会談の将校、交差点や踏切の横断、
   電車、バスなどの乗降、障害物の回避などを覚えていく誘導訓練が行われます。
   さらに、「ゴー(進め)」の指示を出しても、
   自動車などが接近してきて危険な場合は指示に従わない"利口な不服従"も覚えなければなりません。
  *共同訓練
   この訓練中に、盲導犬使用希望者は、盲導犬との歩行方法や
   基本的な犬の訓練の仕方、健康管理の方法を学びます。
  *訓練師
   一般的には盲導犬訓練師という呼称が知られていますが、歩行指導員と呼ばれる場合もあります。
   盲導犬訓練師とは、国家公安委員会が指定した法人が運営する盲導犬訓練施設において、
   研修生として施設長の監督の下、盲導犬歩行指導員の指導を最低3年間受けなければなりません。
   盲導犬訓練師は、盲導犬の候補犬を訓練する技能を持つ者として認められていますが、
   実際に視覚障害者の歩行指導に当たる場合は歩行指導員による指導、監督が必要とされます。
   歩行指導員は、法に基づく資格ではありませんが、
   「自らの責任において歩行指導に共する犬を訓練し、視覚障害者に対して歩行指導を行うことが出来る」
   と法人によって認定された者、ということになります。
   研修期間としては、さらに2年間がプラスされます。
   盲導犬歩行指導員になるための研修は、マニュアル本や教科書があるわけではなく、
   実際の業務に携わりつつ必要な技術や知識を、指導員や先輩のやり方から見習うのが基本で、
   大学や高校を出たばかりの新卒者はこの「見習い」方式に戸惑ってしまう傾向があります。

□盲導犬の仕事
盲導犬の仕事の例としては以下のものなどが挙げられます。
  *交差点や路地など道が分岐するところ、段差を知らせる。
  *階段を知らせる
  *ドアの位置を教える
  *ボタンの位置を教える
  *落し物を拾う
これらの他に、使用者の生活に合わせて色々な物や場所を探せるように教えていくことが出来ます。

  *盲導犬の装着具
   盲導犬の身体につける白い胴輪のことをハーネスといいます。
   ハーネスは、使用者と犬とを結ぶハンドルのようなもので、
   使用者はハーネスの動きを通じて盲導犬のわずかな動きも知ることが出来ます。
   つまり、使用者はハーネスと通して安全に歩くための情報を得ています。
  *盲導犬の歩き方
   盲導犬は常に使用者の左側につき、道路では左側を歩くのが原則です。
   犬の本来の歩き方はトロットと呼ばれる、
   右前足と左後ろ足、左前足と右後ろ足を同時に動かす歩き方ですが、
   盲導犬は仕事中、右前足と右後ろ足、左前足と左後ろ足を同時に動かす、
   側対歩と呼ばれる歩き方をしています。
   この歩き方だと、使用者に合わせた歩行速度を維持することが出来るだけでなく、
   ハーネスを通して使用者に伝えられる盲導犬の動きが一定したものになります。
  *盲導犬が服を着る理由
   盲導犬は飲食店でも電車内でも、いつでもどこでも使用者と一緒なので、
   抜け毛の予防のために、外出の際には服を着ます。
   また、犬が大の苦手という人のため、出来るだけ怖く見えないようにとの配慮もあります。
   服を着ていれば、電車内や道路が汚れていても
   犬の身体が汚れないというメリットもあります。
  *指示語
   盲導犬への基本的な指示語は英語で、約30単語ほどです。
   英語を使用する理由は、英語には基本的に男女言葉の区別が無いからです。

□盲導犬の維持費
 盲導犬が給付された後、盲導犬の飼料代や医療費はすべて使用者の負担となります。
まずドッグフード代が月々6〜8千円。
良質なフードだと、年間の飼料代が12万近くなる場合もあります。
医療費については、1年間に最低限かかる費用が、
狂犬病の予防接種や八種混合ワクチンなどで7万円以上になり、
使用者の経済的負担はかなり大きいと言わざるを得ません。
しかし、地方自治体によっては、東京都のように獣医師会が発券する
年間5万円程度の医療費の給付券を支給していたり、
慈善団体などからの助成金が出ている場合もあります。

□世界の状況と日本の問題点
 盲導犬は世界中で沢山活躍しており、盲導犬発祥の地であるドイツでは1万5千頭、
アメリカでは1万頭以上、イギリスでは4千7百頭、カナダでは1千頭と報告されています。
ドイツには現在40ヶ所の盲導犬育成施設があり、そのなかには国立の施設も2箇所あります。
アメリカには年間約300頭あまりの盲導犬を育成する「シーイングアイ」
という盲導犬育成機関があります。
盲導犬普及率の高いイギリスやドイツでは、
必ずしも全盲者ではなく弱視者でも盲導犬の使用が可能です。
一方、日本では現在、盲導犬を必要としている人は5000人、
活躍している盲導犬は約900頭と、数が不足しており、申請してもすぐ手に入るとは限りません。
日本でなかなか盲導犬の数が増えないのは、育成費用が高すぎる(1頭3〜400万円)ことや、
社会的理解、視覚障害者へのPR不足、法的位置づけや明確な基準の欠如などが原因と考えられます。

参考文献:「盲導犬ハンドブック」 松井 進 著(文藝春秋)



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