■聴導犬について 担当:丸
。。。聴導犬とは
・耳の不自由な方たちや、一人暮らしのお年寄りの方たちと生活をともにし、
耳代わりとなる犬のこと
・特定の犬種の必要は無く、純潔犬でも雑種犬でも良い
・適正があれば約6〜7ヶ月の訓練期間を経て、聴導犬としての役割を果たせる
・ホテル、レストラン、乗り物、公共施設などに自由に出入りできる
・オレンジ色の首輪、リードが聴導犬の印とされ、訓練後は無償で渡され、
耳の不自由な方たちと生活していく
。。。聴導犬の歴史
○日本
1981年 日本小動物獣医師会が育成を始める
1983年 第1号誕生
※7つの育成団体があり、2002年現在で19頭が実際に活躍している
○アメリカ
1975年 育成開始
これまでに約5千頭あまり誕生している
○イギリス
1982年 育成開始
これまでに約850頭誕生している
。。。主な仕事内容
・目覚まし時計の音
・タイマーの音
・やかんの沸騰音
・来客が鳴らすベル
・電話、FAXの音
・赤ちゃんの鳴き声
・火災報知器、非常ベルなどの異常音
・道路上では、自動車のクラクションや自転車のベルの音
聴導犬は普通の音を使用者の膝や腿などを優しくタッチして教えてくれるが、
非常警報機の音の場合は、伏せをして知らせる。
これは、緊急事態を知らせるための特別な姿勢であって、日常音を教える動作とまったく別にしている。
聴導犬の場合、日常生活の音を使用者に教えるとともに、その命をも守っている場合も多い。
。。。聴導犬候補犬とは?
聴導犬は使用者に付き従い、歩行を安全なものにする盲導犬と違い、
鳴っている音を使用者に伝えれば良い。
そのために、飼い犬に合わせた歩行を常に必要とするわけではない。
また、介助犬のように使用者の動作をサポートすることも無い。
家の中などでは自由にしていて、音が鳴ったら使用者のもとに駆けつけ、音が鳴っていることを伝え、
音源の場所に誘導すれば良いので、犬種や体の大きさにこだわる必要は無い。
育成する犬を動物愛護センターなどが保護した犬から選ぶことが出来る。
このため、聴導犬の適正を育成団体が正しく理解し、それを見抜く能力が必要となる。
○聴導犬の適正とは
・健康であること
・雌雄、体の大きさ、犬種、雑種などは問わない
・必要な音に対して敏感に反応できること
・社交的で人が好きであること
・他の動物に対して強い興味を示し、挑発的な行動に出ないこと
・攻撃的でないこと
。。。訓練とは?
○基本訓練
合図したら来る、座る、伏せる、待つ、止まる、落ち着いて歩く、指示した場所で排泄できる
人と接する楽しさ、喜びを感じることが出来る
※「呼んだら来る」ではなく「合図したら来る」ようにする。
基本訓練は実働日数で約60日間行うが、
保護された犬は、犬の状況に合わせて訓練日数を設定している。
○聴導動作訓練
聴覚障害者の日常生活に必要な音を的確に知らせるための訓練のこと。
実働日数で約100日間行う。
使用者の障害やニーズに合わせて行われる。
○合同訓練
使用希望者本人が聴導犬に命令を出し、基礎動作及び聴導動作を行わせるようにする。
適合訓練である。
実働約10日間で、そのうち最終段階の5日間は使用者の自宅、職場などの生活環境で行う。
合同訓練を終えると、聴導犬と使用希望者は
聴導犬の認定を行う指定法人で認定を受けなければならない。
認定を受けて初めて補助犬として社会的に認められる。
合同訓練が終わり認定されても、育成団体は継続的に聴導犬を訓練、指導していかなくてはならない。
要するにフォローアップを生涯続けるということである。
聴導犬使用者の生活が変わり、ニーズも変わってくることが考えられるからだ。
。。。聴導犬が他の補助犬と大きく違うところ
聴導犬がする聴導作業というものは、やらなくても使用者が気づかないということである。
そのため、聴導犬の合同訓練では、使用希望者とのマッチングと
犬が使用希望者を自分の主人と認識し、この人のための音を知らせる作業をしたいんだ
と思わせる訓練が大切になってくる。
聴導犬の基礎訓練に「人と接する楽しさ、喜びを感じることが出来る」という項目が入っている理由である。
他の補助犬と違い、仕事中に人に触られても大丈夫という点もある。
これは、人と人とのコミュニケーションを図る手助けともなる。
。。。なぜ日本では広まらないのか?
・知名度の低さ
・住宅事情(補助犬法により現在はどこでも飼える)
・高額な訓練費用(約80万円)
・必要ないのではと思う人がいる
・ペット化してしまう傾向がある→本当に必要かということになっていく
などが挙げられる
。。。参考文献
「補助犬というベストパートナー 障害者の暮らしを支える犬たち」
本田真智子 現代書館
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