■介助犬について 

□介助犬とは
 身体の不自由な方の手助けをしたり、機能を代行するよう訓練された犬のことです。
身体障害者補助犬法では、
「肢体不自由により日常生活に著しい支障がある身体障害者のために
物の拾い上げ及び運搬、着脱衣の補助、体位の変更、起立及び歩行の際の支持、
扉の開閉、スイッチの操作、緊急の場合における救助の要請、
その他の肢体不自由を補う補助を行う犬」
と定義されています。

□介助犬が行うこと
 介助犬の働きは、障害の部位、程度などにより求められる内容は異なります。
具体的な例としては
 ・落としたものを拾う
 ・指示されたものを取ってくる
 ・体を支える
 ・ドアの開け閉めをする
 ・車椅子を引っ張る
 ・着脱衣の手助けをする    などがあります。
また、介助機器などには無い、精神的な支えともなります。
そして、介助をする人の負担の軽減や、自分ひとりで出来ることが増えることによる
自立心や自尊心の向上に繋がると考えられます。

□介助犬の歴史
 1975年、アメリカで初めて介助犬が生まれました。
日本では1991年、一人の女性がアメリカから介助犬を連れてきたのが始まりで、
その後1995年、国内で最初の介助犬グレーデルが誕生し、
現在では厚生労働省によると38党の介助犬が働いています。

□介助犬の育成について
 ・犬種:現在ではラブラドール・レトリバーが中心
 ・適正:・健康で体力があり、遺伝性疾患(保有犬を繁殖に使わない)が無いこと
       遺伝性疾患*股関節形成不全(生後半年から1年で判明する)
                網膜萎縮
         遺伝性疾患を見抜く方法は2つあり、
         生後3ヶ月ほどで全身麻酔を使用しての判別
         または1年ほどたってから判別する。
      ・人や動物に対して友好的であること
      ・大きな音や環境の変化に神経質でなく落ち着いていられること
      ・集中力があること

□育成の過程
ブリーディング(日本の技術は低い):介助犬に適した犬を選ぶ
  ↓
パピーウォーク:生後1年くらいまでの間、基本的なしつけを行いながら
  ↓       愛情豊かに育てる
  ↓
基礎トレーニング
  ↓
合同トレーニング:障害者と一緒に行う

その後状況に応じて新たなニーズに対するトレーニングが行われます。

これらの過程ではトレーナーを始め、ブリーダーや獣医、
リハビリなどの医療関係者などの多くの人々が関与しています。

□トレーナー
 介助犬のトレーナーは、犬の訓練と指導だけでなく病気や障害、
在宅介助などの知識も必要とされ、そのため専門の教育が要求されます。
しかし専門の資格が無く、訓練内容や技術もさまざまなのが現状です。
介助犬先進国といわれるアメリカでは、トレーナーの資格や基準が確立していませんが、
デルタ協会の開発したトレーナー養成カリキュラムが期待されています。
日本では日本介助犬アカデミーがデルタ協会の協力により、テキストとして活用しています。

□日本の現状
 昨年2002年10月、身体障害者補助犬法が施行され、
公共交通機関や公共施設で補助犬の同伴を拒否できなくなりました。
そして今年2003年の10月からは民間施設への受け入れの義務化が開始されます。
その一方で、介助犬の認知度はまだ高いとは言えず、
介助犬の正しい知識や理解が広まることが必要です。



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